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フリーランスが契約書締結の際に最低限チェックすべき注意点は?

日本においてもフリーランスの数は年々増加しており、フリーランスの方が業務の中で契約を締結する機会も増えています。

本記事では、フリーランスの支援にも注力している当事務所において、フリーランスの方が仕事を受注して契約を締結する際に最低限チェックすべきと考えている事項等を紹介します。

これから契約書を締結しようとするフリーランスの方の参考になれば幸いです。

チェックポイント① 受注した業務内容の明確性

最初に、当然のことではありますが、受注した業務の内容が契約書上の文言に明確に反映されているかを確認する必要があります。

受注した業務の内容と契約書に記載された業務の内容が異なっている場合には、指摘し、修正してもらう必要があります。

包括的・抽象的な規定

また、当事務所で契約書レビューの依頼を受けて契約書を確認している際、しばしば目にするのは、次のような規定です。

委託者は受託者に対し、以下の各号に定める業務を委託し、受託者はこれを受託する。
① 〜〜〜〜
② 〜〜〜〜
③ 上記各号に付随する業務

この第③号のような包括的・抽象的な規定があると、解釈によっては、仕事を受注したフリーランスの方が、自己の想定を超える業務を負担させられることにもなりかねません。

包括的・抽象的な規定を削除するように求めるか、少なくとも具体的にどういった業務を意図しているのかを先方に確認した上で、確認した内容を文書やメール等に残しておくようにしましょう。

請負契約と準委任契約

なお、受注した業務の内容が契約書上の文言に明確に反映されているかを確認する際、その契約が請負契約と準委任契約のいずれに該当するかについても適切に確認しておく必要があります。

請負契約と準委任契約の違いは、仕事の完成(=成果の達成)が義務になっているか否かという点にあると考えられます。

フリーランスの方が契約を締結する際には、その契約において一定の仕事の完成(=成果の達成)が義務になっているか否かを十分に確認する必要があります。

この確認を怠ると、たとえば、アドバイスを行うことだけを約束していた認識であったにもかかわらず、アドバイスの結果として売上を増加させることまでが義務となっており、適切なアドバイスをおこなったにもかかわらず、アドバイスの結果として売上の増加に繋がらなかった場合に債務不履行責任を追及されるという事態にもなりかねません。

なお、2020年に施行された民法改正により、委任契約において、次の規定が新設されました。

委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。

民法第648条の2第1項

準委任契約においても「成果」を予定されることになり、請負契約と準委任契約の差異が曖昧化しました。

しかし、この規定はあくまでも「成果に対して報酬を支払うことを約した場合」において『成果が引き渡されない限り報酬を支払う必要がないこと』を定めているに過ぎません。約束されているのは「成果を達成すること」ではなく「成果に対して報酬を支払うこと」に過ぎず、成果を達成できなかった場合には、報酬を支払ってもらえないものの、それを理由とする損害賠償責任を負うことはないものと考えられます。

上記規定の新設後も、請負契約と準委任契約の違いは仕事の完成(=成果の達成)が義務になっているか否かにあると考えられます。

チェックポイント②対価支払いの時期と条件

続いて、仕事の対価の支払いの時期と条件を確認する必要があります。

対価の大きい仕事であっても、支払条件が厳しいと、1円も支払ってもらえないという事態も生じかねません。

契約書を読み、仕事を受注してから対価が支払われるまでのフローを確認する必要があります。契約書を一読して、このフローが不明確な場合には、契約相手に対し、明確化を依頼しましょう。

この確認を怠ると、対価を支払われるまで、何度も何度も仕事の修正を求められる可能性もあります。

チェックポイント③保証範囲と損害賠償責任

最後に、保証すべき範囲と損害賠償責任を確認する必要があります。

保証すべき範囲の確認は、チェックポイント①で記載した受注した業務内容の明確性の確認と近く、業務遂行の結果として何をもたらす必要があるかの確認作業です。

約束できない事項については、契約書上において、保証の対象としない旨を明確に記載しておく方が良いと考えられます。

損害賠償責任に関しては、次の3点を確認するのが良いと思います。

  • 賠償上限額が設定されているか?
  • 賠償責任を負担する場面が限定されているか?
  • 賠償範囲が限定されているか?

賠償上限額の設定

1点目として、賠償上限額が設定されていない場合、その設定を求める方が良いです。

賠償上限額の目安としては、受注した業務の対価金額と同額とすることが多い印象ですが、当該対価金額の2倍程度とすることもあります。

なお、裁判例の中には、故意または重過失がある場合にも免責が受けられる結果が生じれば、当事者の衡平を著しく害するとして、その有効性に疑義が生じると判示するものがあります(東京地裁平成26年1月23日判決・判例時報2221号71頁等)。

そして、経済産業省が公開している「IT を利活用した新サービスを巡る制度的論点これまでの議論の整理」においては、故意または重大な過失がある場合に責任を限定しようとする規定は対事業者との間でも無効又は制限解釈の可能性」があるとされています(同資料21頁等)。

賠償上限額を設定した場合であっても、このように規定の効力が制限されてしまう可能性がある点については、念の為注意が必要です。

賠償責任を負担する場面の限定

2点目として、賠償責任を負担する場面を可能な限り限定することが望ましいです。

具体的には、賠償責任を負担する場面を故意または重大な過失がある場合に限定することが考えられます。

賠償範囲の限定

3点目として、賠償範囲も限定を求めることが考えられます。

賠償範囲を直接かつ通常の損害に限定するように求めることなどが考えられます。

最後に

本記事では、フリーランスの方が契約書を締結する場合に最低限チェックすべき事項を記載してきました。

本記事が、これから契約書を締結しようとするフリーランスの方の参考になれば幸いです。

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