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開示請求の成功率に影響する要素は何か?|失敗回避のためにすべきこと

インターネットで誹謗中傷を受け、開示請求によって投稿者を特定したいと考えた場合、どうすれば開示請求の成功率を上げられるでしょうか。

開示請求が成功する可能性を高めるためには、どのような要素が開示請求の成功率に影響を与えるのかを知っておく必要があるでしょう。

当事務所では、開示請求を含めたインターネット上での誹謗中傷対応に注力しており、日々多くのご相談を頂いています。

本記事では、このような当事務所の経験を踏まえ、どのような要素が開示請求の成功率に影響を与えるのかをご説明します。

開示請求の成功率に影響を与える要素

開示請求の成功率は、次のような要素によって変動します。

  • 対象とする投稿の内容
  • 対象とする投稿がなされた掲示板やサービスの性質
  • 開示請求を開始するまでに要する時間
  • 開示請求に利用する手段

※ ここで挙げたのは開示請求の成功率に影響を与える要素の一例です。ここで挙げていない要素の影響を受けて開示請求が失敗に終わる可能性も否定できない点には、ご注意ください。

対象とする投稿の内容

まず、対象とする投稿の内容は、開示請求の成功率に大きな影響を与えます。

もっとも、この点については、次の記事で触れましたので、本記事では記載を省略します。「どのような投稿であれば開示請求が成功する可能性が高いのか?」を追加で知りたい方は、次の記事をご参照ください。

対象とする掲示板やサービスの性質

次に、開示請求の対象とする匿名掲示板やサービス(GoogleマップやXなど)によっても開示請求の成功率が変わる点には注意が必要です。

特に、複数の媒体で誹謗中傷を受けている場合には、「どの媒体上の投稿を開示請求の対象とするか。」を慎重に検討する必要があります。

インターネット上の誹謗中傷に関する開示請求の実績が豊富な法律事務所に相談すれば、どの媒体を対象に開示請求を進めるのが良いか、適切なアドバイスをもらうことができるでしょう。

なお、この点については、次の各記事もご参照ください。

開示請求を開始するまでに要する時間

また、投稿時から開示請求を開始するまでの時間(期間)も、開示請求の成功率に大きな影響を与えます。

投稿から開示請求までに時間がかかってしまうと、投稿時(または投稿に使用したアカウントへのログイン時)に使用されたIPアドレスを元に投稿者を特定することは、かなり困難になります。

これは、投稿時(または投稿に使用したアカウントへのログイン時)に特定のIPアドレスを使用していた人物を特定するためには、インターネットサービスプロバイダが保有するアクセスログが必要になるところ、このアクセスログは3か月から6か月で消えてしまうことが多いことが原因です。

なお、対象とする投稿がなされた媒体によっては、IPアドレスの情報を使用せずに投稿者を特定できる場合があります。そのような媒体においては、投稿時から開示請求を開始するまでの時間(期間)が開示請求の成功率に与える影響はわずかです。

開示請求に利用する手段

開示請求に利用できる手段は、(対象となる媒体にもよりますが)複数あります。

裁判手続以外の方法で開示が実現できるサイトも存在します。また、現在では、裁判手続としても、仮処分手続や訴訟手続だけでなく、開示命令制度や提供命令制度などの非訟手続を利用する余地もあります。

この中から選ぶ手段によって、開示請求の成功率が変わる可能性があります。

たとえば、5ちゃんねるでは、IPアドレスの開示について、裁判手続を経ずに、管理者との交渉によって実現する余地があります。裁判手続を使わないことで、早期の開示を実現できる可能性があります。

また、プロバイダ責任制限法の令和3年改正によって新設された提供命令制度は、これを使用できれば開示請求を実現できる可能性が高まるものの、裁判所が発令する提供命令に従わない企業も存在する点に注意が必要です。このような企業との関係では、提供命令制度を利用すると、かえって開示請求の成功率が低下してしまうでしょう。

開示請求の成功率を上げる方法

ここまで、開示請求の成功率に影響を与える要素をご説明しました。

上記で挙げた要素が開示請求の成功率に影響を与えることを踏まえると、誹謗中傷の投稿を発見したら、可能な限り早期に弁護士に相談する方が良いといえるでしょう。

また、弁護士に相談する場合には、次の情報も弁護士に提供する方が望ましいといえます。

  • 複数のサイト(掲示板やサービス)で誹謗中傷を受けている場合には、その旨と誹謗中傷を受けたサイト(掲示板やサービス)の名称
  • 相談時点で開示請求の対象候補と考えている各投稿の内容

上記でご説明したとおり、開示請求の対象とする媒体(掲示板やサービス)によって開示請求が成功する可能性は異なります。そのため、複数の媒体で誹謗中傷を受けている場合には、そのことを弁護士に伝える方が良いでしょう。

また、当事務所の経験上、誹謗中傷を受けている方が「開示請求できるだろう。」と考えている投稿が法的には開示請求が難しく、誹謗中傷を受けている方が「これは開示請求できないだろう。」と考えている投稿が法的には開示請求が認められる可能性が高いことも少なくありません。

そのため、「開示請求できる可能性があるのであれば開示請求を試みたい。」とお考えの投稿が複数ある場合には、そのすべてを弁護士に見せ、その中から開示請求が認められる可能性が比較的高いと考えられる投稿を弁護士がピックアップできるようにしておく方が、開示請求に成功する可能性が高まるといえるでしょう。

最後に

この記事では、開示請求の成功率に影響を与える要素をいくつかご紹介しました。

この記事が開示請求をお考えの方の参考になることを願っています。

インターネット上で誹謗中傷を受け、投稿者を特定したいと考えた場合には、可能な限り速やかに弁護士に相談すると良いでしょう。

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