匿名掲示板の1つである爆サイでは、接客業を行っている店舗や従業員(キャスト)に関する誹謗中傷が投稿されることがあります。
この記事では、このような誹謗中傷の被害を受けた場合の対応方法について、削除に要する期間や弁護士に依頼した場合の費用感(料金)と併せてご説明します。
なお、爆サイでスレッドを立てた人物や書込みをした人物を特定したいとお考えの場合には、削除に先立って弁護士に開示請求の相談をする方が安全です。爆サイの投稿に関する開示請求については、当事務所の次の記事もご参照ください。
爆サイとは?
爆サイは、そのサイトにおいて、爆サイのことを「日本最大級のローカルクチコミ掲示板」であると説明しています(参照:爆サイ.comとは?)。
カテゴリ数では、2021年5月の時点で、5ちゃんねるを上回っているとされています。
閲覧者の特徴
このような爆サイは、主に20〜40代の男女によって閲覧されています。閲覧者のデバイスは、スマートフォンが8割を超えているようです。
爆サイの管理者
爆サイの管理者については、現在まで公表されていません。
この点については、2020年にメディアが「Aegate株式会社」が運営主体である可能性を報道しました。
しかし、この報道は現在もAegate株式会社(2020年10月に「株式会社フェイズ」に社名変更しています。)が爆サイの管理者であることまでを示すものではないので、誹謗中傷を受けた方が手続を進める上では注意が必要です。
爆サイにおける誹謗中傷の特徴
上記のような爆サイにおいては、利用者が多いこともあり、誹謗中傷も少なくはありません。
また、地域にフォーカスしている掲示板であるため、全国規模で有名な個人や事業者でなくても、各地域において一定の知名度を有している場合、誹謗中傷のターゲットとされてしまう可能性があります。
したがって、5ちゃんねるや雑談たぬきと比較すると、爆サイは、より幅広い立場の方が誹謗中傷の被害に巻き込まれる傾向にあるという特徴があります。
※ 総務省が設置している違法・有害情報相談センターによる「違法・有害情報相談センターに寄せられている相談状況 および関連機関との連携について」によれば、同センターに寄せられている「爆サイ.com」に関する相談の数は、匿名掲示板の中では5ちゃんねるに関する相談の数に続き多くなっています。
爆サイのスレッドや書込みを削除する方法
爆サイでの書込みによって誹謗中傷を受け、その書込みを削除したいと考えた場合、まずは自分で削除を試みる人が多いでしょう。
自分で削除申請する方法
爆サイの投稿を自分で削除したい場合、アカウントを作成する必要があります。
削除したい投稿が掲載されているページの末尾には「削除依頼」というボタンがあります。
このボタンを押すと、次のようなフォームが現れます。
ここで会員登録することで削除依頼できるようになります。
会員登録後には、次のような画面が現れます。
この画面から爆サイのスレッドや投稿の削除を申請することになります。
スレッドごと消したいときは、レス番号には「0」を入力しましょう。
また、削除申請にあたっては、爆サイの「削除依頼について」というページを事前に読んでおく方が良いでしょう。次のようなことが記載されています。
- 削除依頼フォーム以外での依頼は受付しておりません。
- 削除依頼は削除理由を記載の上依頼して下さい。
- お問い合わせ、削除依頼に関しては、72時間を目処に行います。ご了承下さい。
- 削除は、削除規定に照らし合わせ行います。依頼された全てを削除するとは限りません。
- 同内容の連続した削除依頼(72時間以内に同内容の複数回の依頼)及び威圧的削除依頼は、弊社の業務妨害と判断し禁止リスト登録を行い、今後の依頼にはお答え出来なくなることが御座います。予めご留意ください。
- 削除に関しては、依頼の都度対応致します。「今後同様の書込みがあった場合には削除して下さい」といった要望には対応出来ません(大量処理の為、判断しきれません)。
削除申請のテンプレ(例文)
自分で削除申請する場合には、たとえば次のような文章とすることが考えられます。
また、名誉権が侵害されていると考えた場合には、次のような例文が考えられます。
対象のレス番号の投稿(以下「本件投稿」といいます。)には、削除を依頼している私の社会的評価を低下させ、私の名誉権を侵害する記載があります。
具体的には、本件投稿には、私の勤務している店舗で私が使用しているキャスト名が記載されています。そして、本件投稿を見ると、まるで私が●をしたかのように読めますが、私がそのような行為をしたことはありません。
お手数をおかけしますが、削除をお願いいたします。
弁護士を通じた削除
爆サイのスレッドや書込みについて、自分で削除申請しても3日以上削除されない場合、弁護士に削除を依頼することが考えられます。
スレッドを立てた人物や書込みを行った人物を特定したい場合も、削除と開示請求を併せて弁護士に依頼するのが良いでしょう。
爆サイのスレッドや書込みの削除を弁護士に依頼すると、弁護士は爆サイの「弁護士・法務関連の申告窓口」から削除を要請できます。
弁護士は、対象となるスレッドや書込みが削除されるべき理由を検討し、この窓口を通じて削除を要請することになります。
当事務所の経験上、弁護士から爆サイの管理者に対して削除を要請することにより、対象のスレッドや書込みが削除できる可能性は上がる印象です。
スレッドや書込みの削除に要する期間
このように爆サイのスレッドや書込みの削除については、自分で申請する方法と弁護士を通じて削除する方法があります。
では、これらの方法で削除を図った場合、どのぐらいの期間で削除が実現できるのでしょうか。
まず、自分で削除申請した場合には、上記「削除依頼について」の記載を参照にすると、72時間(3日)が爆サイのスレッドや書込みの削除実現までの期間の目安になります。
この期間で削除が実現できない場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。
次に、弁護士が削除を要請した場合には、2週間から1か月が削除実現までの一応の目安期間になる印象です。
弁護士から削除を要請すると、60日程度かかる可能性があるとの回答がある場合があります。そのため、1か月以内に削除されない場合であっても、念のため60日は様子を見るのが良いでしょう。
スレッドや書込みの削除に要する費用(料金)
爆サイのスレッドや書込みを自分で削除する場合には、特段の費用はかかりません。
これに対し、弁護士を通じて削除申請する場合には、弁護士費用がかかります。
爆サイのスレッドや書込みの削除に関する弁護士費用は、①対象となるスレッドや書込みの数、②その内容などに応じて変わりますが、権利侵害性が明白な投稿を1つ削除するのに要する弁護士費用は5万円から10万円(税別)程度でしょう。
また、同じような投稿が複数されている場合には、複数の投稿をまとめて同じような金額感で依頼することが可能な場合もあります。
まずは、爆サイのスレッドや書込みの削除を実現した経験のある弁護士に相談し、削除に要する料金を確認するのが良いでしょう。
当事務所でも初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
スレッドや書込みの削除申請に関する注意点
爆サイのスレッドや書込みの削除にあたっては、次の点に注意が必要です。
- 開示請求(投稿者特定)も考えている場合、開示請求を優先すること
- 威圧的な言葉遣いを避け、丁寧な言葉遣いを心がけること
- 何度も連続して削除依頼しないように注意すること
- 可能な限り、スレッドよりも個別の書込みの削除依頼をすること
- 弁護士以外の第三者に削除手続を依頼しないこと
開示請求の優先
まず、爆サイでスレッドや書込みをした人物を特定したい場合には、削除請求よりも開示請求を優先すると良いでしょう。
削除によってアクセスログが消されてしまう可能性も否定できませんし、削除に先立って証拠を保全しておかなければ開示請求を進めることができなくなってしまうからです。
威圧的言葉遣いの回避
次に、威圧的な言葉遣いは避けるようにしましょう。
爆サイでの誹謗中傷に関して、第一次的な責任を負うべきは誹謗中傷をした投稿者であり、爆サイの管理者に基本的に責任はありません。時間を割いて削除すべきか否かを判断してくれる爆サイの管理者に対して威圧的な削除依頼をするのは避けましょう。
連続した削除依頼の回避
また、同じスレッドや書込みについて、何度も連続して削除依頼するのも避ける必要があります。
何度も連続して削除依頼してしまうと、爆サイの管理者に対して過度な負担をかけてしまうことになります。
個別投稿削除の優先
爆サイ上の書込みを削除したいと考えた場合、可能な限り、スレッド自体ではなく、個別の書込みの削除を依頼するようにしましょう。
スレッドごと削除すると、そのスレッド内の書込みがすべて削除されることになります。スレッド内には、誹謗中傷に加担する投稿だけでなく、誹謗中傷と無関係な投稿が含まれる可能性があります。そのような誹謗中傷と無関係な投稿まで削除してしまうと、表現の自由に対する過度な制約となる可能性があります。
爆サイのスレッド自体が、特定の店舗や人物に対する誹謗中傷を目的として立てられている場合は別ですが、可能な限り、個別の投稿の削除を依頼するべきでしょう。
弁護士法違反の可能性
爆サイのスレッドや書込みを削除する場合、弁護士以外の第三者に削除を依頼するのはやめておく方が良いでしょう。
爆サイの「削除依頼について」とのページにも、次の記載があります。
削除要請は、弁護士以外の者が行うと弁護士法第72条で禁止している(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)または、第27条 (非弁護士との提携の禁止)に該当する可能性があります。
弁護士法第72条は、弁護士でないものが法律事務を取り扱うことを禁止しています。
最後に
この記事では、日本最大級の匿名掲示板の1つである「爆サイ」のスレッドや書込みを削除する方法をご説明しました。
爆サイで誹謗中傷を受け、開示請求までは希望しない場合、基本的には最初に自分で削除を試みることになるでしょう。
他方で、ご自身で削除を試みても削除が実現できない場合や、削除だけでなく開示請求も希望する場合には、弁護士に依頼する方が良いと思います。
当事務所でも爆サイの誹謗中傷については、スレッドごと削除を実現した事例や、開示請求によって投稿者を特定して150万円を超える賠償金を得た事例がありますので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
対象のレス番号の投稿(以下「本件投稿」といいます。)には、削除を依頼している私の電話番号と住所が記載されています。これはプライバシー権の侵害に該当すると考えますので、削除をお願いいたします。