ホストラブ(以下「ホスラブ」と略します。)は、夜のお店専門の匿名掲示板です。
他の匿名掲示板と同じく、ホスラブにおいても、誹謗中傷行為やプライバシー侵害行為が行われることが少なくありません。
本記事では、ホスラブにおいて誹謗中傷行為等を受けた場合に、投稿を削除するための方法や、投稿の削除を弁護士に依頼した場合の費用等について、ご説明します。
ホスラブの特徴
ホスラブは、2001年にスタートした匿名掲示板であり、「夜業界のための情報交換サイト」です。月間250万人が利用し、月間6億PVを誇る匿名掲示板であることから、非常に閲覧者および閲覧数の多いサイトといえます。
また、「爆サイ.com」などと同様に、関西版や四国版等も有しており、地域にフォーカスしていることもホスラブの1つの特徴といえます。そして、サイトの特性上、閲覧者の6割から7割が女性となっており、年齢層としては、18歳から34歳が多くなっています。
このようなホスラブでは、名誉毀損やプライバシー侵害を構成するような投稿が行われてしまう例も少なくありません。
弁護士ドットコムの運営する「みんなの法律相談」においても、「ホスラブ 削除」の法律相談が数多く寄せられています。
ホスラブの投稿の削除方法(弁護士に依頼する方法と自分で行う方法)
ホスラブは閲覧者が非常に多いことから、ホスラブ上の投稿を放置してしまうと、被害が予想以上に早く拡大する可能性があります。
そのため、可能な限り早期に投稿を削除するための措置を講じることが望ましいでしょう。
ホスラブの投稿を削除する方法は、大きく分けると次の2つが考えられます。
- 自分でホスラブ上の削除依頼フォームを利用する。
- 弁護士に投稿の削除を依頼する。
以下、順にご説明します。
なお、弁護士以外の業者等が削除依頼を代行することは、弁護士法で禁止されています(弁護士法第72条)。このような業者等に削除の代行を依頼してしまうと、法令違反行為に加担することになってしまうため、ご注意ください。
実際に、他人に代わってウェブサイトに掲載された記事を削除するための業務の依頼を受ける旨の契約を弁護士法72条に違反すると判断した裁判例も存在し、次のような各種メディアによって取り上げられました。
削除依頼フォームの利用
ホスラブは、誹謗中傷やプライバシー侵害を受けた人のために削除依頼フォームを設置しています。
ホスラブの削除依頼フォーム(リンク先は関西版のホスラブの削除依頼フォームです。)には、各地域版のトップページの末尾の「削除依頼」のボタンを押下することでアクセスできます。
次の情報をフォームに入力することで削除依頼を行えます。
- 1. スレッド番号
- 2. レス番号
- 3. 削除理由
- 4. お名前
- 5. メールアドレス
もっとも、この方法で削除依頼を行う場合には、次の2点にご留意ください。
- 削除依頼は公開される。
- 削除依頼ガイドと削除依頼ガイドラインを事前に確認する方が良い。
削除依頼は公開される
まず、ホスラブの削除依頼フォームから行った削除依頼は公開されます。
ホスラブの削除依頼履歴は公開されており、誰でも閲覧できる状態になっています。
削除依頼の対象となったレス番号や、スレッド番号、削除理由が公開されることになっているため、公開されては困るような内容を削除理由として入力してしまうと、二次被害に繋がってしまうので要注意です。
削除依頼ガイドと削除依頼ガイドライン
次に、ホスラブには、削除依頼ガイドと削除依頼ガイドラインが用意されています。削除依頼フォームからの削除依頼に際しては、こちらを事前に確認する必要があります。
ホスラブの削除依頼ガイド(リンク先は四国版のホスラブの削除依頼ガイドです。)では、次のような内容が書かれています。
- 削除は96時間を目安に行われる。
- 削除理由は削除ガイドラインから抜き出して入力する必要がある。
- 削除人はボランティアである。
削除理由は削除ガイドラインから抜き出して入力する必要があるため、削除ガイドラインもよく確認する必要があります。
ホスラブの削除ガイドライン(リンク先は四国版のホスラブの削除ガイドラインです。)によれば、削除対象となりうる投稿内容を次の5つに区分した上で、それぞれの区分に分類される投稿の削除可能性が記載されています。
- 1. 個人名・住所・所属について
- 2. 電話番号について
- 3. メールアドレス・ホスト情報について
- 4. 誹謗中傷について
- 5. 私生活情報について
ホスラブの削除依頼フォームから削除依頼を行う場合には、この削除ガイドラインを適切に読み込んだ上で、削除理由を入力する必要があります。
ホスラブの削除を弁護士に依頼する
ホスラブの削除依頼フォームから削除依頼を行ったにもかかわらず投稿が削除されないような場合には、投稿の削除を弁護士に依頼するのが良いでしょう。
ホスラブの投稿の削除を弁護士に依頼した場合、弁護士はホスラブの運営者やサーバ管理者に対して投稿の削除を要請することになります。
※ ホスラブのサーバ管理者については、ドメインである「hostlove.com」を正引きしてIPアドレスに変換し、その情報をもとに調査することで株式会社バリューコアであることが判明します。他方で、ホスラブの運営者については、このような方法で調査することはできませんが、インターネット問題に注力している弁護士であれば、調査を行うことが可能です。
この削除要請の際には、弁護士はプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が公開している「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」の参考書式である侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書を利用することになります。
仮にこのような削除要請の方法によっても削除が実現できない場合、または削除要請に併せて仮処分を申し立てる方が良いと判断した場合、弁護士は仮処分の申立てを行うことになります。
削除依頼フォームからの削除依頼の場合には96時間が削除までの目安の期間になると記載しましたが、仮処分を申し立てる場合には、事案にもよるものの、概ね1か月程度が削除までの期間の目安になります。
弁護士がホスラブの投稿に関して仮処分の申立てを行う場合には、(i)被保全権利と(ii)保全の必要性を疎明するために必要な準備を行った上で申立てを行うことになります(参照:裁判所「保全事件の申立て」)。インターネットトラブルの解決に注力している弁護士であれば、スムーズにこちらの準備を行うことが可能です。
なお、ホスラブの投稿の削除を弁護士に依頼する際に気になるのは、その金額感ではないでしょうか。
この点、一口に誹謗中傷と言っても、その内容は個別の投稿によって異なり、削除を実現できる可能性は異なりますし、手続に要する労力や時間も異なります。したがって、それぞれの案件に応じて金額が設定されることも少なくないでしょう。
具体的に対応していきたい投稿の内容を示して複数の弁護士から見積もりをもらった上で、それぞれの見積もりを比較検討してみるのが良いかもしれません。
なお、見積もりについては、次のポイントから比較検討するのが良いでしょう。
- 見積もりの範囲内で、どんな対応をしてもらえるのか。
- 成功報酬が定められている場合、成功報酬が発生する条件は何か。
当事務所でもお見積もりは無料でお出ししておりますので、お見積もりをご希望の方は、こちらのお問い合わせフォームから、お気軽にご相談ください。
ホスラブの投稿が削除対象になる可能性
それでは上記のような方法によって削除される可能性のある投稿は、どのようなものになるでしょうか。
参考になるのは上記の削除ガイドラインとホスラブの利用規約(リンク先は関東版のホスラブの利用規約です。)になります。
ホスラブの利用規約には禁止行為が提示されていますので、ホスラブの投稿を削除できるか否かを悩まれている方は、こちらの規定を参考にされるのが良いかもしれません。
たとえば、次のような行為が禁止されています。
- 第三者の知的財産権、その他の権利を侵害する行為又は侵害する恐れのある行為
- 残虐な情報、動物を殺傷・虐待する画像等の投稿、その他社会通念上他人に著しく嫌悪感を抱かせる情報を不特定多数の者に対して送信する行為
- 自分以外の人物を名乗ったり、代表権や代理権がないにもかかわらず文化団体などの組織を名乗る発言、または他の人物や組織と提携、協力関係にあると偽ったりする発言
なお、削除ガイドラインや利用規約の記載は必ずしも明確ではありません。そのため、ホスラブの投稿を削除できるか否かを悩まれている方は、一度弁護士に相談してみるのが良いでしょう。
削除対象となる投稿の投稿者を特定する方法(弁護士に依頼するメリット)
ここまではホスラブの投稿を削除する方法についてご説明してきました。
投稿を削除することは、それだけでも有効なことが少なくありません。
しかし、将来的に同じような投稿を繰り返される事態を避けるという観点からは、投稿者を特定する措置も講じる方が望ましいです。
投稿者を特定することで、損害賠償の請求による民事上の責任の追及や、刑事告訴による刑事上の責任の追及を行える可能性が生まれます。
投稿者を特定するためには、次の2つの手順を踏む必要があります。
- 1. IPアドレスの開示請求
- 2. 契約者情報(氏名や住所等)の開示請求
詳しい方法については「悪質な投稿を行う投稿者を特定する方法と費用は?」をご参照いただきたいですが、次の2点には特にご注意ください。
- 投稿者の特定は弁護士に依頼する方が良い。
- 投稿者を特定できる期間は限られている。
まず、投稿者を特定するためには裁判手続が必要になります。
そのため、適切かつ効率的に手続を進めるためにも、弁護士に依頼する方がいいでしょう。投稿者を特定する手続を弁護士に依頼すれば、特定後の損害賠償請求や刑事告訴についても継続して依頼できるため、スムーズにそれらの責任追及に移行できるというメリットもあります。
次に、投稿者を特定できる期間は限られています。
投稿日から概ね1か月以内に手続を開始しなかった場合には、投稿者を特定できなくなってしまう可能性が高まります。
誹謗中傷やプライバシー侵害を行う投稿を発見した場合には、可能な限り速やかに、弁護士に相談することをお勧めします。
最後に
本記事では、当事務所としてインターネットトラブルの解決に従事してきた経験を踏まえ、匿名掲示板の中でも閲覧者の多いホスラブ(=ホストラブ)について、投稿を削除する方法等をご説明しました。
当事務所に所属する弁護士は、ホスラブ上の投稿の削除にも注力しておりますので、ホスラブ上の誹謗中傷等にお悩みの方は、こちらのお問い合わせフォームから、お気軽にご相談ください。